NEXT ORDER


NEXT ORDERのサウンドにおける最大の特徴は、何よりその音楽的多様性だろう。名古屋をベースに活動する武藤祐志と石垣篤友、そして大阪在住の清野拓巳と松田"GORI"広士。各メンバーのバック・グラウンドとなる音楽は、非常に多彩・多岐にわたる。ともすれば一貫性を失いがちなこの多様性をつなぎ止めているのは、リーダー武藤の宇宙的パーソナリティー。音楽的、人間的に強力な個性を持つ各メンバーが、奇跡的とも言うべきバランス感覚で融合する。それこそがNEXT ORDER・ミュージックの核心である。

 対峙する武藤と清野のギター。一見対照的なスタイルであるようでいて、ときに立ち位置を入れ替わり、創造と破壊の局面を交錯する。お互いを損なうことなく、それでいて攻撃的な冒険心を保つ距離感は、明らかに一般的な2ギターフロントとは一線を画するだろう。それを支えるベーシスト石垣の役割は大きい。拡散するサウンドを求心力を持って牽引し、それ故に最大級の起爆剤ともなる。松田のドラミングは、繊細かつ大胆に情景を演出する。リズムセクションの枠を踏み越えるようなインタープレイは、ダイナミックにバンドサウンドを別次元へと昇華させる。

 NEXT ORDERの音楽の多くの部分は、ステージ上で即興的に創造される。それはメンバーが名古屋、大阪と地理的に離れて活動していることも大きな要因かもしれないが、結成以来ライブを通してオーディエンスと音楽を共有し探求してきたバンドの基本姿勢となっている。5枚のアルバムがすべてライブ・レコーディングであることも理由なきことではない。

 いつの頃からか、メンバー間での共通認識となってきたキーワードは「永遠の高校生BAND」。それは、決してノスタルジックな意味合いではない。職業的な意識ではなく、純粋に音楽と向き合い、音楽的野望を胸に秘め全身全霊で演奏に没頭する。そんな想いを共有できることこそが、最大の奇跡かもしれない。